李下に冠を正さず

「李下(りか)に冠(かんむり)を正(ただ)さず」と読みます。
この言葉は、「人に疑われるような行為を行ってはいけない」という意味です。

李というのは、果物の「すもも」のことです。
「すもも」の実の下で、頭に載っている冠の位置を直す、頭に手をやる行為は、見方によっては、すももを取っているとも見え、誤解される可能性があるのでやらないほうが良い。
というわけです。

さて、先日から少々ニュースになっているのが、検事の定年延長問題です。

この定年延長は、元々は、公務員全体的な定年延長の枠組みで考えられていたもので、政府の考え方としては、割と一貫した方針です。
政府としては、年金の給付開始を少しでも延ばしたい意向があり、そのためには、定年を少しでも延ばす必要があるわけです。まあ、他にも色々と理由はあるのでしょうけれど、根幹は年金給付の先延ばしではないかと考えています。

黒川氏の定年を無理やり延長させるということをしていなければ、また、内閣が任意の検察官の定年を延長できるという仕組みを潜り込ませようとしなければ、きっと今頃法案は成立していたでしょう。

しかしながら、安倍内閣は「李下に冠を正してしまった」わけです。かなりのケチが付いてしまった。


まあ、単にケチが付いただけであればリカバリーもしやすいかと思うのですが、疑いの目を持たれてしまっていることから、この手の法案を出そうとしたら、重箱の隅を突くような指摘を受けて、なかなか法案が成立しないのではないかと思います。

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